読書
「柿の種」ノススメ
数年前の早春に、神田の花屋で、ヒアシンスの球根を一つと、チューリップのを
五つ六つと買って来て、中庭の小さな花壇に植え付けた。
いずれもみごとな花が咲いた。
ことにチューリップは勢いよく生長して、色さまざまの大きな花を着けた。
ヒアシンスは、そのそばにむしろさびしくひとり咲いていた。
その後別に手入れもせず、冬が来ても掘り上げるだけの世話もせずに、打ち棄て
てあるが、それでも春が来ると、忘れずに芽を出して、まだ雑草も生え出ぬ黒い土
の上にあざやかな緑色の焔を燃え立たせる。
始めに勢いのよかったチューリップは、年々に萎縮(いしゅく)してしまって、今年はもうほ
んの申し訳のような葉を出している。
つぼみのあるのもすくないらしい。
これに反して、始めにただ一本であったヒアシンスは、次第に数を増し、それが
みんな元気よく生い立って、サファヤで造ったような花を鈴なりに咲かせている。
そうして小さな花壇をわが物のように占領している。
この二つの花の盛衰はわれわれにいろいろな事を考えさせる。
(大正十二年五月、渋柿)
以上引用
寺田寅彦「柿の種」より
自分が変わるために新しい習慣を身につけるか?悪いクセをやめるか?
セミナーを受講したり
出世した友達と会ったり
大きな失敗をした時・・・
「このままではダメだ、新しい自分に生まれ変わろう」と思った事は
誰でも一度や二度はあるでしょう。
自己啓発のセミナーに行ったり本を読んだりして
自分を変えようと慣れない新しい習慣に取り組み必死に努力します。
しかし変わるというのは言葉で言うほど簡単ではありません。
努力し続けて本当に変身できる人は
100人のうち何人いるでしょうか?
そんな大変な思いをしなくても
もっと肩の力を抜いて
何も新しい行動を学ばずに変われる方法がある
と教えてくれる本を読みましたので、
ご紹介します。
疑わない純粋な心が氷も溶かす「花のき村と盗人たち」
”むかし、花のき村に五人組の盗人がやってきました。
かしらは「おまえら村の様子を見てこい」と弟子に探りにいかせます。
突然後ろから「おじさんこの牛、もっていてね」と
小さいわらじを履き子牛を連れた7歳くらいの男の子に手綱を渡されました。
男の子はどこかに行ってしまいました。
かしらは「何もせずに牛一匹を得た」と笑いました。
笑いすぎて涙が出ました、
ところがその涙が止まりません。
かしらはじめて人に信用されて嬉しくて泣いていたのです。
ところが、
損得を考えず人のために行動できる無欲な人が一番幸せになる
ある若者が仕事をするため車に乗ろうとしたら壊れていた。
隣に家に行き車を貸してもらえないかと頼んだ。
「貸してもいいが、荷物を運ぼうとしているところだ。それが終わらないと貸せない。」
と言われた。
どうせ家に居てもすることがないので「荷物運びを手伝います」と言って
一緒に作業をした。
下ろすだけではなく荷物を使いやすいように配置をして
壊れているものは簡単な修理をした。
ひと通り終わって車を借りた。
その後隣の人は
「車だけじゃなく、困ったことがあったら何でも遠慮なく言ってくれ」と言ってくれた。
車を借りられるまでの暇な時間で手伝っただけだったが、
思わぬものを得た。
何が幸いするかわからない〜商売の本道を歩み逆風スタートからの成功〜
人口27,000人、3人に1人が65歳以上の高齢者とうい過疎が進むまち
鹿児島県阿久根市に24時間営業の大型スーパー「A-Zあくね」があります。
出展の許可が下りるまで11年もかかり、
どうせお客さんなんか来ないと
開店を目前にして銀行から融資を断られるなど、
大変な逆風の中でスタートしました。
またスタッフを募集しても経験者の応募はなく、
定年退職者や農閑期の農家の人、
主婦、地元の学校の新卒者など
未経験者ばかりの素人集団での立ち上げとなりました。
しかしその事が幸いし、
いまでは一日に平均17,000人来店し、
年商100億円を超える大繁盛店に成長しました。