見習いたい

Tシャツプリントはここにしか頼みません。

今日は久しぶりに晴れました。
暑いのでTシャツの話でも書こうと思います。

3年前の春、クライアントの依頼を受けてデザインした、Tシャツ100枚強のプリントをある会社に依頼しました。
約10日後仕上がったTシャツが入った箱を開けて確認してみると、プリント部分の左側1cmが切れている(印刷されていない)ではありませんか!
すぐさま、その会社に電話したところ、担当者の話と現場に残っていた版を確認し、版を作る時に「ズレ」が生じていてそのまま誰も気づかずに進行してしまったようです・・・。という事でした。
「何やってるんだ!」と思いましたが、電話口からの社長の「申し訳ない」「出来るだけの事はする」という謝罪の気持ちが伝わって来たので、怒らずに対応策を話し合いました。

もちろんやり直しです。プリントされていなかった部分を追加プリントすると言う事になりました。
そんなにキレイに出来るのかと思いつつもその言葉を信じ、その日のうちに送り返しました。
到着後3日以内には発送するという事ですが、荷物の往復も含めると合計5日はかかってしまいます。
工場のミスとは言え直接受注したのは私なので、クライアントにも頭を下げに行き、納品が遅れる事を了承してもらいました。

そんな事があった2日後、大きい荷物が事務所に届きました。
何だろうと箱を開けてみると注文した通りの枚数のTシャツがキレイにプリントされて入っていました。
「送り返した荷物の到着は昨日のはずなのに???」
どう考えても物理的に無理だ、なぜだ!?と思い、先方に電話してみると、

「菅野様にこれ以上ご迷惑をかけられないので、すべて新しいTシャツにプリントし直しました。」の言葉が。
良く聞いてみると、私からの電話の後すぐに版を作り直し、Tシャツを取り揃え従業員にも残業してもらい、100枚以上のTシャツをプリントしたとの事でした。
この会社にとっては材料費・人件費・光熱費など大きなマイナスが出た事でしょう。
今回の事だけ考えたら赤字になっているはずです。
にも関わらずその迅速な対応と、そこまでしてくれた事に対して胸に熱いものがこみ上げてきました。

それ以来
Tシャツプリントはそこにしか頼みません。
特別に安い訳ではありません。
特別に技術が良い訳でもありません。
ですが、
「ここなら、あの社長がいる限り何があっても大丈夫」という、そこはかとない安心感があります。
計算されたサービスではなく、「お客様のために」という簡単なようで実は難しい事を日常の業務の中で実践しているからです。

私も商売をしているので、基本的には1円でも多く利益を出せる外注先に発注したいと思っています。
しかし、これを書いていて「安さ」意外の「価値」を選択する自分がいる事に改めて気づきました。

今ではこの会社にプリントを依頼するのがちょっとした楽しみにさえなっています。

そして今年もこの会社にTシャツプリントを頼みます。

2009-06-23 | Posted in デザインNo Comments »